高頻度取引の拡大とスプレッドの話

コンピュータにより実施される“超スピード”の自動取引手法「高頻度取引」。
驚異的な処理能力を誇るコンピュータと最適化された通信システムをフルに活用、目にもとまらぬ速さの取引で大きな資金を動かし莫大な利益をあげていく手法です。

こうした取引の影響力はアメリカの株式市場をかわきりに、為替や先物市場にも拡大。株投資、FX、先物投資…といった様々な投資の現場において、その存在感を増しています。

さて、この「高頻度取引」の割合が市場で急拡大した背景には、いくつかの理由が指摘されているのですが、その1つが、アメリカの株式市場において2001年に実施された“呼値単位の変更(適正化)”です。

まず「呼値」とは、いわば株や債券を取引する際に示す希望価格のこと(株価に応じて呼値単位が決まっており、それ以上に細かく指値注文を出すことはできない)。

そしてこの変更で、呼値単位は従来よりもグッと細かな値になりました。

この呼値単位の縮小は、顧客に「より安く買って高く売るチャンス・約定率アップ」をもたらし収益拡大の機会を与えることを目的に実施されたもの。従来よりも呼値単位が細かくなれば、そのぶん従来よりも安い価格での約定が可能になるためです(例えば……売り注文100円・買い注文101円の場合、呼値が1円単位ならば約定価格は101円にしかならないのに対し、0.1円単位で指値ができるようになると100.5円といった価格での約定が可能になりスプレッドコストも低下する)。

アメリカの呼値適正化では、変更後に従来1/8ドル(12.5セント)だった最小売買スプレッド(スプレッド:売値と買値の差)が1セントにまで縮小。投資家の取引コストは一気に低下することになったのです。

ただし…
この変更が同時にもたらしたものがありました。
それこそ…今回とりあげている「高頻度取引」の台頭・浸透です。

スプレッドの縮小でマーケットメイカー(売買気配値を提示する業者)は利益激減に直面!
その結果…生き残りをかけて大手マーケットメイカーは競って“この新しい状況に適した…ハイスピードで大量の取引を繰返し細かな利ザヤを稼いでいける手法「高頻度取引」”を導入。それによって市場における高頻度取引の割合が一気に激増することになったのです。

こうした進む高頻度取引の拡大に対しては、世界各国で“歯止めをかけるべき”との声も巻き起こっていますが、高頻度取引のチカラを市場で食い止めることはもはや叶わないでしょう。

そのため、これから我々は、コンピュータによって相場の公平性が極端に乱されることが無いよう祈りつつ、どうしたら高頻度取引の犠牲にならず上手く立ち回れるかを考えて取引を組立てていかなくてはならない……そんなことが言えそうです。