高頻度取引、その仕組とは?

いまや投資もコンピュータが行う時代!
とりわけ…コンピュータならではの処理能力をフル活用し、人間がどう頑張っても追いつけない“超スピード”で取引を繰返す「高頻度取引」が今、投資の世界に激震をもたらしています。

ここでは、そんな「高頻度取引」の仕組をザッと簡単にご紹介していきましょう。

まず…
高頻度取引とは、予め組み込まれたストラテジー(アルゴリズム)をもとに、人の手を介さずコンピュータが行う自動取引の一種。高い処理能力をもったコンピュータシステムと証券会社との間に設けた高性能通信システム(一般投資家が利用しているものより最適化され、比べ物にならないほど素早いやりとりができる)を武器に目にもとまらぬスピードで取引を繰返す手法です。

その主なやり口としては「ステルス注文(市場に気づかれないように大量の注文を出し、一般投資家の注文が入ったと同時に素早く約定させる)」や「アイスバーグ注文(大口注文を市場に気づかれないよう戦略的に小分けに売買する)」といったものが挙げられるでしょう。

また最近は、“投資家の取引の先回り”に、この驚異的スピードが使われることが増えているもよう。

アメリカの株式市場を例に見てみると……
顧客から大口注文を受けた証券会社が、その一部を市場に出すやいなや…高頻度取引システムがそれを嗅ぎつけ市場に先回りして同銘柄を買占め、値段をつりあげて証券会社に売る…(厳密にはもっと複雑なのですが)簡単に言うとこんなようなことが起きているのです。

従来の注文処理にかかる僅かな時間は、ミリ秒単位での売買ができる高頻度取引にしてみれば長い時間。その驚異的な取引スピードを持ってすれば、投資家の注文状況を見てから取引を組立て・実施することなどオチャノコサイサイなわけです!

つまり、高頻度取引業者(トレーダー)は、その高いスピード力を使って“人間による手動注文の先回り”を実施、人間の取引を利用した損のない取引で巨額の利益をあげていること。世間ではこうした手法を、皮肉たっぷりに「後出しジャンケン取引」と呼ぶこともあります。

人間が必死に相場の動きを捉えようと秒単位を競っているあいだに、コンピュータは目にもとまらぬスピードで大量の取引を処理してしまうのですから、みなさんの中には「なんとも不公平ではないか! これが許されるのか?」という怒りや「投資の世界が人間のチカラが及ばないところへ行ってしまうのでは?」といった恐怖さえ覚えた方もあるはず…。

実際、高頻度取引については“似通った複数のプログラムが一斉に類似取引を大量実施することにより、相場を極端に一方向に進ませかねない”など、市場かく乱リスクを指摘する声も出ており、欧米はもちろん日本政府のなかでも、この高頻度取引の在り方を危惧して規制強化を求める意見が徐々に強まりつつあります。

とはいえ…
既に市場における取引の多くを高頻度取引が占めてしまっている以上、このさき高頻度取引の勢いが縮小するとは考えにくいのが現実。むしろこうした手法は今、為替や先物など様々な市場に拡大をみせており、コンピュータによる高頻度取引が市場を席捲する日々は今後も続くことが予想されます。

従って投資をするのなら、高頻度取引という存在があることくらいは少なくとも頭の片隅においておくべきでしょう。