高頻度取引の問題とは?

「高頻度取引」は、組み込まれたアルゴリズム(売買ルール)に沿ってコンピュータが行う自動取引の一種。コンピュータの高い処理能力と証券会社との間に設けた高速通信システムを武器に驚異的なスピードで大量の取引をこなし、小さな利ザヤを積み上げて大量の利益をあげる手法です。

その取引スピードはミリ秒単位の世界!
近年は、それを遙かに上回るマイクロ秒(1/100万秒)単位のシステムも登場。
この人の力が到底及ばない速度で進められる取引には、投資家はもちろん各国の政府も“問題アリ”との見方を強めています。

では「高頻度取引」にはどんな“リスクや問題”があるのでしょう。

まず指摘されるのはコンピュータ(プログラム)のエラー。
既に取引の半数以上をコンピュータが占める昨今、誤作動を起こした場合に市場が大きな混乱を被ることは明白です。

加えて、高頻度取引に欠かせない処理能力の高いシステム構築ができるのは一部の巨大な資金をもった人たちのみ。そのため(限られた人だけが優位に取引を進められるようになり)市場の公平性が保たれなくなるのでは…との声も高まっています。

また、大量のマネーを猛烈な速さでやり取りするこの手法には、相場の乱高下を引起こす恐れがあるとの指摘も少なくありません。各プログラムのアルゴリズムは似通ったものになりがちなため、相場がひとたび1方向に動き出すと、ドッと同じ方向に大量の注文が入り相場の振れ幅を増幅させてしまいかねない…というわけです。

具体的には…
2010年のNYダウの大暴落がいい例でしょう。
5月6日、ダウはほんの数分で998ドル降下、その後600ドルを超えて値を戻すという、なんともモノスゴイ乱高下に! この混乱を引き起こした正体こそ「高頻度取引」だとされているのです。

人間は、荒れ相場を前にすると「売られ過ぎ・買われ過ぎだから怖いな…」などと取引を躊躇するもの。そうした心理が往々にして極端な相場の乱高下を防ぐストッパーとなるわけですが、言うまでもなくコンピュータに感情はありません。

コンピュータは組み込まれた売買ルールに沿い迷うことなく取引を進めていくだけ。従って、ひとたび相場が下落に転じると損切りの売りがドッと入って相場が瞬く間に下落、底を打って上昇に転じるとこれまた一斉に買いが入って急上昇するという具合に、極端な荒れ模様を引き起こしやすいのです。

そうした批判に対し高頻度取引業者側は、自分たちはむしろ大量の取引で“市場の安定を支えている”存在であると主張。確かに…大量の注文で相場の流れを引き戻すなどのチカラがこうした手法に認められるのは確かなため、頭から全否定するのは考えものかもしれません。

ただいずれにせよ、高頻度取引が従来の投資の在り方を変えつつある(ある意味すでに変えてしまった)のは事実!

これから投資を進めていく際には、コンピュータが市場での影響力を益々強めていることを意識し、そのチカラを前に“人間は”どういった戦略をとっていくべきか、一度考えてみる必要があると言えるでしょう。