HFT (高頻度取引) の規制が始まる

アメリカのノンフィクション作家、マイケル・ルイスという人物をご存知でしょうか。元々は債権セールスマンで、金融ジャーナリストとしても有名です。そんな彼の代表作である「フラッシュ・ボーイズ」という作品が、HFT(高頻度取引)の問題点を投げかけ話題を集めたのは記憶に新しいところです。


フラッシュボーイズに描かれた高頻度取引の問題点

新手のトレーダーたちは、超高速・超高性能のコンピューターを使い、株式市場や為替市場において売買取引そのものを先回りするという万能アルゴリズムを駆使します。一秒にも満たない時間の中で何千回も繰り返すことのできる高頻度取引を利用し、僅かな隙に生まれる価格差を搾取するというような内容です。簡単に言うと大量取引を察知すれば先回りをして売り、価値を下げる、もしくは買い、価値を上げるというような市場を制圧してしまうわけです。極端に言えばアルゴリズムを利用したインサイダー取引がではないかと、疑問を投げかけているのです。


フラッシュ・クラッシュ以降、欧州での規制が

アメリカの工業株30種平均がたったの数分という短時間で1000ドルもの大暴落の後、すぐに戻るといった極めて異例な現象が起きました。これがフラッシュ・クラッシュです。フラッシュ・クラッシュの原因となったのは高頻度取引であるHFTではないかと懸念されて以降、規制する必要性が議論されてきました。このような背景もあり、2018年より欧州ではHFT業者の登録が義務付けられました。当のアメリカでもHFTを行う業者の登録や、細かな情報提供を促す規制を設ける予定をしています。


日本での規制も始まる

海外での流れも受け、日本でもHFTに対しての規制が導入される措置がされるという内容が2016年12月に金融審議会「市場ワーキング・グループ」によって報告されました。まず証券取引所をはじめ、金融商品を取り扱う業者に対して、自らがHFTを行っていなくても、「無登録HFT投資家(HFT環境、体制が整っていない投資家も含め)からのオーダーを受けることはできない」としています。そして業者自らがHFTを行う場合には、金融当局への登録、情報提供、通知、記録などを義務付けることが課せられます。
また、取引所ではHFTを行う投資家の所在を明らかにするため調査を可能にすることも許可することにしています。

高頻度取引が悪いことだという印象が強くなりがちな部分もありますが、一方では市場の流動性をもたらしているという意見もあり、今度も高頻度取引における規制の範囲に関しては議論が続けられていくのではないでしょうか。