大統領選でも議論になった高頻度取引への課税

アメリカの大統領選でヒラリー・クリントン氏とトランプ氏が対決していたニュースは投資とは無関係な方でも知っているはずです。激しい大統領選の中、ヒラリー氏が提言で注目されていたのが「高頻度取引(High Frequency Treading)に対して課税対象にすべき!」という内容でした。さてこの高頻度取引とは一体何か、また課税対象とするべきなのは何故かを考えてみます。


0.001秒の世界で金融取引が行われる

高頻度取引とはコンピューターの優れた処理速度を利用し、アルゴリズムを用いた金融取引です。売買取引を1秒の間に数千回も繰り返すことができるので到底人智の及ぶ範囲ではありません。また、通常の売買取引が成立するまでの1秒と1秒の間といった隙間を察知し、大口取引を感じたら先回りして売る、買うができるなど金融市場ではこのような高頻度取引による売買の割合が大きくなってきています。


HFTは公平性を欠く取引?

高頻度取引を行う多くの顧客というのは地位や財産を持った大口の顧客でもあるために、規制すべき当局では見ても見ぬふり状態とも言われています。これでは個人投資家が淘汰されかねない、市場にとっても不利益だという批判の声が上がっているのも事実です。その懸念点を突いたのがヒラリー氏だったというわけです。


金融取引にかけられる税金FTTとは

FTT (Financial Transaction Tax) と呼ばれるのが金融取引税です。株式や債券をはじめとしたすべての金融取引に対して課税するためのものです。FTTにより、株価や為替の暴落暴騰を抑制し、実施する国には大きな税収が見込まれるということにもなります。このFTTを高頻度取引に対しても実施するべきという試みがあります。


世界で初めて高頻度取引に課税した国とは

2013年イタリアでは高頻度取引をする株式売買に対して、新たな課税制度を導入しました。その内容は、「金融派生商品の売買時間が0.5秒未満の取引に対して、0.02%の課税を行う」というものです。1秒に1000回の高頻度取引であれば、0.5秒で500回、となると1秒あたりの取引に対して10円程度の税金が課せられることになります。大きな税収ではないかもしれませんが、これがどこまで抑止力として働くのかが注目されるニュースとなりました。


日本での高頻度取引に対する課税は?

日本ではまだ高頻度取引に関して規制というところまではいっていませんが、欧州の国々で今後FTTを導入する予定が決まっているため、その影響を受けざるを得ない状態にはなると予測されています。

そもそも高頻度取引は多大な資産を持つ顧客が多いと言われているのもあり、取引を行えば行うほど税金が課せられれば、それだけ資産を多く持つ層からの税収も期待できるという狙いもあるのです。今後、高頻度取引がどれだけ市場を占めていくのか、それを抑制するために課税制度の導入が進んでいくのか、その動向に注目です。